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2018年12月30日

by 保科由貴

この一年を振り返ると、舞台に立つ経験からよりもむしろ、バイオリンを教える立場から学ばせて頂いたことのほうが、より多かったように思います。音というのは不思議なもので、同じ楽器でも弾き手によって全く異なる音になります。それはきっとそれぞれの魂の響きが、独自のバイブレーションを生み出しているからなのでしょう。

わたしのレッスンでの主な仕事は、その方本来の音へアクセスする方法を、共に模索することだと考えているのですが、その過程で、対比として、自分自身の音を深く知ることにもなります。考えてみれば、子どもの頃から大勢で同じことを弾くオーケストラが大の苦手だったので(今も苦手)必然的に、各々が持つ音の美しさを、自他共に追求する数十年だったように思います。

未熟だった10代の頃は、バイオリンの音を客席のうしろまで届かせようと躍起になっていたけれど、そうやって意識を外へ向ければ向けるほど「力み」というエゴが加わって、音自体も伝わる想いも、縮小の方向へ向かうのですね。そこから試行錯誤して、身体を通り抜ける風のような音を出す研究を重ねていたのですが、今年の半ば、バイオリンのエンドピンを声帯へ向けていることに気付いたのをきっかけに(そうすると歌っているときと同じように声帯が振動する)自分の内奥へ降りて響きを伝える方法が、感覚的に理解出来たように思います。

演奏を聴いてくださる方ひとりひとりに「あなたはあなたのままで大丈夫」というメッセージを伝えるために、わたしはわたしの中へ深く潜り、その深淵を、演奏を通して疑似体験してもらう必要があるというのは、なんだか不思議な話ですが、純度の高い音を出すためには、部屋を整えて換気をすることが一番効果的なように、何らかの因果関係があるのでしょう。

そんなこんなで来年!ようやっと重い腰をあげて、6年ぶりにソロリサイタルを企画しようと思っております。6月と12月に出来ればいいな。書いたのだから、やらないと。かといってあまり大きな場所ではやりませんけども(笑)聴きに来て頂けると嬉しいなぁ。

そうそう、今日で仕事納めだったのですが、ホッとしたのも束の間、ヨーヨーは卵を産んでしまうし、年末年始はハラハラドキドキになりそうです。とはいえ、この一年の出逢いに感謝しつつ、皆さまにとっても、良い年越しとなりますように。

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